なぜコンプライアンスは機能しないのか― ルールがあっても現場で守られない理由 ―
近年、コンプライアンスへの関心は高まっています。
多くの企業でルール整備や研修の実施が進んでいますが、現場では「うまく機能していない」と感じているケースも少なくありません。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。
■ よくある2つの課題
目次
コンプライアンスに関する課題は、大きく2つに分けられます。
① そもそもルールが整備されていない
・規程が存在しない
・判断が属人的になっている
・「暗黙の了解」で運用されている
このような場合、「気をつける」という意識だけで業務が進んでしまい、明確な判断基準がないまま対応が行われがちです。
② ルールはあるが機能していない
・規程やマニュアルは整備されている
・指揮命令系統も定めている
・定期的な研修も実施している
一見すると整っているように見えますが、実際の現場では運用が徹底されていないケースも多く見られます。
■ 現場で起きていること
現場では、小さな判断の積み重ねが日常的に発生しています。
例えば、本来は上司の承認が必要な案件であっても、
「いつも通りだから」「小さい案件だから」といった理由で、事後報告で済ませてしまうケースがあります。
一つ一つは大きな問題にならなくても、こうした対応が積み重なることで、ルールは徐々に形骸化していきます。
■ なぜルールが守られないのか
多くの企業では、問題が起きると
「ルールが足りないのではないか」
「もっと細かく決めるべきではないか」
と考えがちです。
しかし実際には、ルールを増やすだけでは解決しません。
むしろ、ルールが増えることで
・現場が理解しきれない
・例外対応が増える
・結果として守られなくなる
といった状況が起きやすくなります。
■ 本当に必要なもの
コンプライアンスを機能させるために重要なのは、
現場で判断できる状態をつくることです。
そのためには、
・どのような行動が望ましいのか
・どこまでが許容されるのか
・迷ったときにどう判断するのか
といった「判断の軸」を明確にすることが必要です。
■ コンプライアンスは“運用”である
コンプライアンスは、制度を整えるだけでは機能しません。
日々の業務の中で、
・判断の理由を共有する
・迷った事例を振り返る
・判断の考え方を積み重ねる
といった運用を行うことで、初めて定着していきます。
■ マネジメントの重要性
こうした運用を支えるのが、マネジメントです。
・判断の基準を示す
・考え方を共有する
・現場の判断を支援する
といった関わりを通じて、組織全体の判断力を高めていくことが求められます。
■ まとめ
コンプライアンスが機能しない理由は、
ルールがないからではなく、現場で判断できないからです。
ルールを増やすのではなく、
判断できる組織をつくること
これが、コンプライアンスを機能させるための重要なポイントです。

